故・原正人プロデューサーの著書『映画プロデューサーが語るヒットの哲学』より、備忘録を兼ねて、心に響いた箇所をピックアップします。あまりにも示唆深い本で、あっという間に読み切ってしまいました。。
伝説の映画プロデューサー原正人とは
『戦場のメリークリスマス』『乱』『失楽園』の製作や、『ニュー・シネマ・パラダイス』『地獄の黙示録』『エマニュエル夫人』の宣伝など、映画史を語る上で欠かせない作品の数々に関わってこられたプロデューサーです。映画人そして映画ベンチャーとはかくあるべきか、その真髄について余すところなくまとめられた本になります。出版年が2004年と少々古いものの、今にも通ずる普遍的な示唆が含まれていると感じました。
『映画プロデューサーが語るヒットの哲学』の名言
映画の宣伝において重要なこと
本当に大切なのは、作品の心を理解し、何とかそれを人々に伝えたいと願う真摯さと知恵と努力なのです。常に自戒する心を失いたくないものです。
原正人『映画プロデューサーが語るヒットの哲学』
ヘラルド・エース設立にあたってスタッフに話したこと
一つは、才能のある人とお金、つまりマーケットを結びつけたい、もう一つは映画界と映画以外の企業を結び付けたい、そしてもう一つは日本と外国を結びつけたい、と。ヘラルド・エースはそういう一種のコーディネーター、オーガナイザーの役割を担おうじゃないかと語りました。
同上
映画『赤い帽子の女』での失敗について
受け狙いで、頭で作った作品は計算通りにいかないということを思い知らされました。作りたいという欲求やパッションが軸にないといい作品はできません。安全パイに逃げたつもりでしたが、映画製作に安全パイなどありえなかったのです。
同上
アスミック・エースでの経営について
大切なのは、自分たちの扱っている商品は多くの才能の努力によって作り上げられた個性ある作品なのだという認識と、ものを作る人々に対する敬意を忘れず、ベストを尽くして観客に届けるという社風を作り上げていくことだと思います。椎名社長はこの社風を「バリュー・クリエイター(価値の創造者)」と表現しました。
同上
ヒットを生むために必要なもの
「自ら信じることなくして、他人を信じさせることはできない」という宣伝の格言があります。製作にせよ、配給にせよ、作品が決まる前はどんなに意見を言い合っても、決まった以上、信じて一つになる。
同上
プロデューサーに必要なもの
プロデューサーとは辛く、孤独な存在です。でも明日があるさとめげずにまた企画を考え始めるのは、その魔力のせいかもしれません。映画は面白い、でも映画の仕事はもっと面白いと懲りずに裏方に徹して生きるのもプロデューサーの心意気です。
同上
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